行動計画の基本方針について |
第1にカナダの中で起こりうる深刻な病気と全体の死亡者数を最小限に食い止めること、つぎにインフルエンザのパンデミックの結果として起こりうる社会的混乱を最小限に食い止めることが目標である(※1 - intro-1)。 |
被害想定推計項目と推計値 |
2つの罹患率が想定されており、国内の罹患率が15%であれば平均17000人の死者が想定される。一方で罹患率が35%になる非常に感染性の高いパンデミックであれば、平均死者数は4万人を超えることが想定される(※1 - Background 8)。 |
集会・外出の自粛 |
大多数の人にウイルスが蔓延する可能性が減少するという利点はあるが、社会活動の崩壊や国全体の経済状況の悪化が起こりうるという欠点もある(※1 - AnnexM-25 Restrict indoor public gathering (other than schools))。 |
隔離 |
効果的なワクチンが利用可能になるまで、人々が集まる地域で皆が生活するよりも地域ごとなどの区切られた単位で隔離することにより、パンデミックの流行を遅らせることができる可能性がある(※1 - AnnexM-29 Isolated communities)。 |
個人防御としてのマスク着用 |
ウイルスを含んでいる飛沫粒子に対する曝露の可能性を軽減することや心理的に自分は感染から身を守る手段を講じているという安心感を人々に与えるという利点がある。一方で、マスクを外す時に手などの表面が汚染される、マスクの入手が限られた時に混乱が起きる、本当にマスクを必要としている人が買いたい時に、買うことができる数が限られてしまう、全ての人がマスクを買うだけの経済的余裕があるわけではない、パンデミックの期間中ずっとマスク着用ができるわけではない、といった欠点もある(※1 - AnnexM-26 Use of Masks by well individuals)。 |
予防投与の対象について |
治療の第一線で働く医師を守るために、医療従事者の3分の1に対して6週間に及ぶ予防投与を行う。予防投与に必要とされる抗ウイルス薬の量は膨大になると考えられ、一人の6週間に及ぶ予防投与で必要とされる薬剤の量は4〜5人の治療で必要となる薬剤の量に等しい(※1 - AnnexE-6 Prophylaxis)。 |
学校における休業措置 |
子供が地域における感染拡大に重要な役割を果たしていることはよく知られており、学校や保育所などの閉鎖は感染拡大の規模を軽減したり、流行時期を遅らせたりする効果があると思われる。公衆衛生担当者は、学校関係者と協力して合法的に休校措置などを実行させることができる。しかし仕事をしている家庭において、子供の世話をするための代理の人を見つけなくてはいけない、そうでないと重要な仕事をしている人にとっては、仕事から離れて子供の世話にまわらないといけないという欠点がある(※1 - AnnexM-24 Close schools and daycare center)。 |
抗インフルエンザ薬の備蓄 |
パンデミック第一波においては、ワクチンは利用可能ではないことが想定されるため、抗ウイルス薬は国民を守るための最も有効な手段となる。
カナダにおいては二つの備蓄手段があり、一つはNational Emergency Stockpile System(NESS)で、これは連邦政府によって投資・管理されるものである。NESSはパンデミックに直面した際に、州や準州の体制を支えるべく、迅速な対応を行う。もう一つは州や準州が投資し管理している抗ウイルス薬である(※1 - p.35 Antivirals)。
2006年2月にNational Antiviral Stockpileについて、neuraminidase inhibitorの備蓄を5500万ドースもしくは550人の治療に使用に対応できるようにするとりまとめが決定されたが、パンデミック期間中のclinical attack rateが35%以上であることを考慮すれば、5500ドースの備蓄が望ましい(※1 - AnnexE-4 The National Antiviral Stockpile)。 |