数々の抗生物質やワクチンの開発により感染症は過去のものとなったというような楽観的な見方がなされていた時期もありましたが、21世紀に入ってからも新興感染症が続いて起こり、人類は今なお感染症の脅威にさらされていることを改めて思い知らされることになりました。さらに、グローバリゼーションの進展した現在の世界では、新興感染症などの感染症が国境を越えて瞬時に拡散する危険性が、これまでになく高まっています。
当研究室では、実験室内での研究のみならず、アジア、アフリカ、南米など海外でのフィールドワークも行い、公衆衛生・臨床などの関連する領域と連携しながら感染症対策の研究や実践を進めています。
当研究室ではフィールドの視点を重視したウイルスを中心とした感染症研究を行っています。疫学研究のフィールドとしては、日本だけでなく海外でも研究を行っています。
大きく分けて、呼吸器や消化器ウイルスなどのウイルス学的研究をしているグループと疫学的研究をしているグループがありますが、この2つのグループは協力しながら実際の感染症対策に役立つ研究を目指しています。ウイルス学研究グループは、フィールドから検出された病原ウイルスを対象にウイルスの病原性や進化等に焦点をあてた基礎研究を行っています。一方、疫学グループでは、フィールドで収集したデータをもとに適切な感染症対策を提唱すると同時に、地域行政や世界保健機関に協力し公衆衛生上の対策に貢献できる研究を目指しています。
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