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西アフリカ エボラ支援

西アフリカ エボラ支援

当研究室の教員らが、西アフリカに派遣されエボラ対策支援を行いました。

斉藤 繭子(准教授、派遣国:シエラレオネ、派遣期間:2014年11月9日~12月17日)

院長写真前半はコイナドゥグ県の行政機関の中心地であるカバラで県内サーベイランスシステムの維持、症例データベースの管理、WHOカントリーオフィスへの流行状況の報告が主な業務であった。後半は南部のホットスポット(流行地)に設立されたコミュニティケアセンターのあるカバラへ移動し、WHOからNPO(OXIFAM、Medicos del Mundo)へのセンター業務の移行、接触者調査への協力を行った。この県では11月上旬に流行のピークがあり、任務期間は症例数が減少傾向であったため、遠隔地での接触者調査の徹底や関係機関の連携強化が活動の中心であった。

押谷 仁(教授、派遣国:リベリア、派遣期間:2014年11月12日~12月25日)

当初は主に地域レベルの対応の支援を行うのが主な任務であった。派遣時にはリベリアでは感染者は減少傾向にあったものの、首都のモンロビアを中心にまだ毎日のように新規感染者が発生しており、地方でも数多くのホットスポットと呼ばれる、感染者の集積が起きている状況であった。このためモンロビアや流行地域での対応の支援を行っていた。派遣期間の後半はWHOリベリアオフィスに設置された、エボラ対応チーム全体のコーディネートを行うというのが主な任務であった。エボラ対応チームには疫学調査・感染制御などの7つの専門家チームがあり、40名を超える専門家が世界各国から派遣されていた。それらのチームの活動の支援を行うとともに活動全体のコーディネートを行っていた。

 グローバル化の進展とともにエボラウイルス感染症のような感染症が国境を越えて伝播するリスクは確実に増加している。昨年には日本国内で70年ぶりにデング熱の感染が確認されている。このように海外の感染症の流行が日本に波及するリスクもグローバル化とともに確実に増加している。このような時代にあって、国際社会は連携して、感染症を現場で封じ込める体制を強化する必要がある。日本への波及を未然に防ぐという観点からも、このようなグロバールな感染症の流行の対応にも日本がより積極的な国際貢献をしていくことが求められている。東北大学は世界に開かれた大学を目指しているが、研究面だけではなく、このような専門的知識を生かした国際貢献も東北大学の重量な役割である。

古瀬 祐気(助教、派遣国:リベリア、派遣期間:2015年1月31日~4月10日)

WHOのラボラトリーコーディネーター(検査室調整員)として活動に参加した。エボラウイルス感染症の診断はRT-PCRという手法で行われるが、この検査を実施できる施設をリベリアは1つしか保有しておらず、EUやアメリカ政府などが検査室の施設および人員を派遣することで対応していた。そのため、各機関がスムーズに活動できるよう、WHOが中心となってリベリア保健省と協力し、国内全体の現況を把握し、国内中に点在する検査室と密に連絡を取り、必要があれば訪れ、問題があればそれを提起し、定期的な会議の召集を行った。また、このような検査やコーディネートを含む活動の中心が、徐々に国際機関からリベリア国内の機関へと移れるよう、さらに今回のアウトブレイクが終息した後に同様の悲劇を繰り返さないためにどうすればよいのか、復興戦略の立案に携わった。

神垣 太郎(助教、派遣国:シエラレオネ、派遣期間: 2015年5月15日~6月30日)

2015年5月15日から6月30日の日程でシエラレオネにおけるエボラ感染症のアウトブレイクに対する技術支援に参加した。活動を開始した当初は感染者が非常に限られていたために、制圧に向かう低流行時におけるエボラ感染症サーベイランスの再構築に関するデータ解析および関連するNGOや県保健省の担当者との打ち合わせを行った。しかし流行は収まらず新たなクラスターが探知されたために、活動の中心はフィールド調査に対する技術支援、集められた疫学情報および接触者調査をデータベース化して疫学解析を行い、対策へのデータ提供を行うことに移った。