本文へスキップ

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)



ENGLISH

イントロダクション

この研究プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施している、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う研究プログラムとして創設された地球規模課題対応国際科学技術協力の枠組みで行われているものです。東北大学大学院医学系研究科とフィリピン熱帯医学研究所と共同で、フィリピンの小児における重症呼吸器感染症の重症化因子をさまざまな角度から包括的に明らかにすると共に、重症化阻止、特に死亡の軽減につながるような、より有効な診断、治療および予防方法を確立することを目的として、「小児呼吸器感染症の病因解析・疫学に基づく予防・制御に関する研究」を行っています。

背景

国連のミレニアム開発目標は世界の乳幼児死亡率を2015年までに1990年の水準の3分の1に減らすことを目標の一つに掲げていますが、その達成が危ぶまれています。今も世界中で900万人近くの乳幼児が死亡していると考えられ、その最も重要な死因は肺炎がであり、フィリピンにおいても同じ状況です。これまでのWHO/UNICEFアプローチは、20年近く前に得られたデータに基づいたもので、病因診断はせず、臨床症状だけから重症度を判定し、重症患者にはなるべく早期に抗菌薬を投与していくということが基本になっており、小児の重症呼吸器感染症の重要な原因であることが明らかになってきているウイルス感染症に対する対策はほとんど行なわれていません。また近年途上国でも急速に増加している薬剤耐性菌への対応もできていないことが指摘されており、小児の重症呼吸器感染症への最新のデータによるエビデンスに基づく包括的な戦略への見直しが強く求められています。
 平成23年度より、東北大学大学院医学系研究科はフィリピン熱帯医学研究所と共同で小児肺炎の包括的な研究をから行っています。フィリピンのマニラ・レイテ島・ビリラン島・パラワン島に、それぞれ研究基幹病院を設置し、重症肺炎で入院している患者の病気の原因を明らかにし、また、特にビリラン島では、地域レベルの研究を実施し、病院に来ることができない患者をも対象とした包括的な研究に着手しています。

研究概要

研究課題名: 小児呼吸器感染症の病因および疫学解析・疫学に基づく予防・制御に関する研究
研究代表者名(所属機関): 押谷 仁(東北大学大学院医学系研究科 教授)
研究期間 :平成22年採択、平成22年6月1日から平成29年3月31日まで(暫定及び延長含む)
相手国名:フィリピン
主要相手国研究機関:熱帯医学研究所(RITM)

コンポーネント

コンポーネント  研究内容 目的 
 1  病因研究 地域から病院レベルの小児肺炎患者の病原体を明らかにする 
 2  疾病負荷研究 小児肺炎の発生率を正確に計算する
 3  危険因子研究 コンポーネント1および2のデータから小児肺炎の危険因子を明らかにする
 4  介入研究 その危険因子に対して、介入研究を実施する
 5  成果発表 介入研究を評価し、途上国の肺炎戦略にフィードバックする

基幹病院


RITM, Research Institute for Tropical Medicine (フィリピン国立熱帯医学研究所); ONP, Ospital ng Palawan(パラワン州立病院); BPH, Biliran Provincial Hospital(ビリラン州立病院); EVRMC, Eastern Visayas Regional Medical Center(東部ビサヤ地域医療センター)

プロジェクトチーム

押谷仁(日本側研究代表者)・Socorro Lupisan(フィリピン側研究代表者)

研究メンバー
斉藤繭子・玉記雷太・Veronica Tallo・Amado Tandoc III・Lydia Sombrero・Edelwisa Mercado・Melisa Mondoy

事務サポート
小嶋良輔(JICA調整員)