新型インフルエンザ対策に対するエビデンスのまとめ Review of pandemic influenza preparedness and control measures 厚生労働科学研究補助金「新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業」

各国における新型インフルエンザ対策

目次

> アメリカ合衆国
> 英国
> オーストラリア
> カナダ
> ニュージーランド

アメリカ合衆国

行動計画の基本方針について
インフルエンザパンデミックがいつおこるかわからないこと、A(H1N1)pdm09がこれからどのように変異していくのかを予測することは非常に難しいことが背景としてあげられる。そのために国家全体で適切に、柔軟な方法で以てそれに備えていくことが重要である (※2 - foreword)。
パンデミックに対する事前準備は、サーベイランス、事態の調査、国全体・国民を守るための公衆衛生的な手法、ワクチンや抗ウイルス薬の製造、医療や緊急対応、リスクコミュニケーションなどといった、パンデミックが発生した際に効果的な対応を検討するためのプロセスであり、パンデミックが発生する前に具体的な行動事案を確立することを目標とする(※1 - p.7 Key Pandemic Response Elements and Capabilities for Effective Implementation)。
被害想定推計項目と推計値
被害想定は2つの重症度にわけて想定されており、1958年のアジアかぜや68年の香港かぜのような中等度の重症度の場合には約20万人の死者が、1918年のスペインかぜのような重度の重症度であれば約190の死者が推定される(※1 - p.18 table1)。
公衆衛生対策
検疫・水際対策の在り方について
対応にあたる組織との間で注意事項や情報伝達手段を確立する感染の疑いがある、発症した乗客との面会およびアセスメント発症している乗客に対して医学的評価をなすとともに評価のCDCに対する照会、そして病気の乗客を指定された医療機関へ送るなどの適切な対応を行う感染が疑われる乗客を特定し、感染の疑いのない人々との接触を断つ感染の疑いがある者とその関係者が、他の者との接触予防に非協力的である場合は強制的に隔離を実施する短期の隔離では初期診断の結果が出るまでの2,3日、長期の隔離は、パンデミックインフルエンザの確定診断がつくまでの期間を考慮して10日程度(※1 - S9,p4-5)。
集会・外出の自粛
地域に感染している患者がいる状況では、インフルエンザの合併症に対するリスクの高い人は、映画館や教会などの地域の集会場は避けるべきである。またこのような人は、食品スーパーや薬局などの公共の場所への出入りも控えるべきであり、代理の人に頼むことが望ましい(※1 - S8-12 Closure of office building, shopping malls, schools, and public transportation)。
隔離
隔離は、感染者を非感染者から引き離すことでインフルエンザウイルスの感染機会を減らすとともに、感染者が疑われる者の経過を観察することで、早期の治療や感染の予防措置をとることを目的とする(※1 - S8-10 Quarantine of groups of exposed persons)。
個人防御としてのマスク着用
インフルエンザとの合併症のリスクが高い人や他の人との接触を避けるのが困難な仕事などに従事している人、治療を受けるために他の場所への遠出を余儀なくされている人々にとって、マスク着用は有用である。地域の中に新型インフルエンザ患者がいる場合には、非感染者は日常的にサージカルマスクなどを着用するのが望ましい。
咳エチケットの在り方について
くしゃみや咳をするときは、ティッシュで口や鼻を押さえる。ティッシュは必ず捨てる。ティッシュがない場合は、服などを使って口を押さえる。手だけで押さえない。以下のウェブが参考になる。
http://www.cdc.gov/flu/protect/covercough.htm
予防投与の対象について
介護施設居住者及び高度な免疫抑制状態にある人は優先的にワクチンや予防投与を受けるべきである。
初期の治療は予防投与の普及よりも、抗ウイルス薬の使用のほうが効率がよい。すべての国民に対して予防投与を認めるとなると、膨大な量の抗ウイルス薬の備蓄が必要となる(※1 - S7-12 Planning consideration)。
学校における休業措置
休校はインフルエンザウイルスの蔓延を減らし、コミュニティー内での全体での病気の規模を減らす上では効果的である(※1 - S8-12 Closure of office buildings, shopping malls, schools and public transportation)。
医療提供体制の在り方について
パンデミック時にInfluenza clinicが開設される可能性もあり、感染している可能性のある患者に対して迅速な診断が行われる。感染した患者はinfluenza hotlineに電話して、自宅待機するべきか近くのinfluenza clinicを探すべきかを訪ねることが望ましい(※1 - S8-5 Planning for influenza clinics and hotlines)。

英国オーストラリア連邦カナダニュージーランド

このページのTOPへ

市町村のための新型インフルエンザ等行動計画作成支援ツール
医療機関における診療継続計画作りのためのツール
新型インフルエンザ等対策特別措置法対策の教育ツール
インフルエンザ対策の公衆衛生対策のエビデンス解説ビデオ
厚生労働省
新型インフルエンザ対策行動計画
インフルエンザ一問一答

国立感染症研究所
世界保健機関
WPRO

本ウェブサイトの構築は、厚生労働科学研究補助金「新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業」(新型インフルエンザ発生時の公衆衛生対策の再構築に関する研究)の研究活動の一環として行った。

本ウェブの内容に関するご意見・ご質問はpanflu@virology.
med.tohoku.ac.jpまでお知らせください。